歯車

何をやってもうまくいかない時もあれば、あらゆることがうまくいき出す時もある。心理的な要素が関係していることは確かだが、他にも大事な要素があることに気がつける。練達とその波及効果だ。

物事の始まりは、失敗と試行錯誤や、地味な反復作業の繰り返しであることが多い。きっとそんな時は、なかなかうまくいってない感じがする。まさに当然のことだ。しかし投げ出さずにいると、ある日、ふと、努力の成果か、運の重なりか、うまくいき出すこともある。これも当然のことだ。練達は実力を生み。時間は機会を生む。

そして、またあることに気がつく。他の挑戦においても、今回のこの試行錯誤によって得られた方法や過程が効果を発揮するのではないかと。さて、今までは全く進展の見えなかった諸々の事柄たちが動き出す。ひとつの歯車をしっかりと回せたことで、繋がっていた他の歯車も回り出す。すると、どうだろうか。自分の内部で回り続ける歯車は、周囲の人々の錆び付いていた歯車にさえ影響をもたらす。また、それが巡り巡って、しばらくして動きの鈍った自分の歯車を、彼らのそれらに助けられることになるかもしれない。

だから、いきなり全部をうまくやろうなんて、無茶な考えはよせ。ひとつだけでもいいから、こつこつと、信じ抜くことだ。本当に遅々とした歩みでも構わない。自分がそう思っていたとしても、いつの日か振り返ると、その景色は自分を何よりも感動させるから。

なぜなら、歩みは常に成長と隣り合わせで、歩幅は一定ではないから。今日の一歩は、一年前の百歩に相当しているかもしれないのだ。